全日本ラリー選手権第9戦 M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ
奴田原文雄が今季初勝利、チャンプ確定済みの勝田範彦は3位入賞
10月12~14日/岐阜県高山市
スペシャルステージ本数:10本
スペシャルステージ総距離:80.04km
ラリー総距離:1レグ約260km
SS路面:グラベル
SS路面状況:ドライ
今年は予想外のアクシデントに見舞われ続け、第9戦スタート時点ではまだランキング6位にとどまっていた奴田原文雄だが、その不運の連鎖にとうとう自分の手で終止符を打った。
とはいえ今回もまた、奴田原にとっては多難なラリーだった。スタート早々、インターコムが不調となりペースノートがはっきりと聞き取れない。奴田原をはじ めとする上位選手たちにはもう何十回も走っている道とはいえ、ノートがあるのとないのとでは攻め方も違う。この隙をついてオープニングからトップを奪った のが、ここへきて調子をあげてきた岩下英一だ。
岩下の全日本デ ビューはおよそ20年ほども前のこと。がむしゃらな攻めの走りでめきめき頭角を現したが、その後、長期にわたって活動を休止していた。数年前から国際格式 ラリーを中心に年に1~2回のペースで競技に復帰。今年は全日本のグラベルイベントに的を絞り、これまでに出場した2戦でいずれも4位を獲得している。
ラリーは岩下がトップを走り、インターコムの不調をおして奴田原がぴったり2位につける展開。すでにチャンピオンが決まった勝田範彦は、ここ数年完走したことのないこのラリーでなんとか上位に食い込んで完走したいという思いで2人を追う。
2回目のギャラリーステージとなったSS4深谷ダムでは、久しぶりにこのラリーの名物「川渡り」が復活したが、餌食となる競技車が続出。4位を走っていた 大庭誠介ランサーもそのうちの1台で、勢い良く飛び込んだために下回りを強打し、そのダメージがもとでSS5で大きく遅れることになった。また、SS5で は勝田も電動ファンのトラブルからタイムを落とし、順位は変わらないもののトップ争いから脱落。いっぽうこのラリーを得意とする田口幸宏がこのSSを3位 であがり、大庭を抜いて勝田に0.2秒差に迫った。
SS5終了後の サービスで、奴田原はやっとインターコムが完璧に復調なったのか、SS6からラリーは奴田原の独壇場。SS6で記録したこの日初めてのベストタイムは、2 位の岩下を10秒近く上回った。他方、勝田に迫る勢いだった田口はここでバーストのため致命的な遅れを喫して7位まで後退した。
奴田原は以後すべてのSSでベストタイムを奪い、岩下がタイヤバーストで大きく遅れたこともあって、最終的に2位に約46秒の差をつけて今季初優勝をおさめた。バーストを避けて慎重に走りきった勝田は久々のハイランドマスターズ完走を果たし、3位表彰台を獲得した。
「カーブレークラリー」という名前のとおり、今回も悪路でのダメージからリタイアするクルマが続出。とくに6台のインテグラとセリカで争われたJN-3クラスは 5台がリタイアし、過酷なラリーを生き残った榊雅広インテグラがJN-3クラス優勝を手に入れた。JN-2クラスは平塚忠博ブーンが総合6位に食い込む快 走で制した。
【全日本ラリー選手権 第9戦 総合結果】(出走28台/完走17台)
1位 JN4-1位 奴田原文雄/小田切順之 ADVAN・PIAAランサー 1:10:24.8
2位 JN4-2位 岩下英一/高橋昭彦 GUM ADVANランサー 1:11:11.0
3位 JN4-3位 勝田範彦/晝田満彦 ラック名スバルStiDLインプレッサ 1:12:25.8
4位 JN4-4位 大庭誠介/高橋巧 REPSOL-ADVANランサー 1:13:49.8
5位 JN4-5位 天羽桂介/鈴木一也 SKスポーツラリーチーム 1:14:44.8
6位 JN2-1位 平塚忠博/鈴木裕 ダイハツブーン X4 1:15:15.4
14位 JN3-1位 榊雅広/井出上達也 J&SクスコKYB☆BSインテグラ 1:21:05.7
注)クラス区分の説明:JN4クラスは2000ccを超える車両、JN3は1600ccを超え2000cc以下の車両、JN2は1400ccを超え1600cc以下の車両、JN1クラスは1400cc以下の車両。
【ドライバーズ総合ランキング】
(10戦中9戦終了時点で高得点の7戦分による順位)
1位 123.0pt 勝田範彦 (BRIG)
2位 78.0pt 石田正史
3位 72.0pt 北村和浩
4位 50.6pt 奴田原文雄
5位 49.4pt 大庭誠介
6位 45.4pt 炭山裕矢